子どもたちが危ない!
みなさんも覚えておられませんか? 幼稚園や小学校低学年の頃のことです。
なんでも見るものに興味があって、世界中がキラキラして見えたあの頃のことです。すべてが可能性に包まれていた頃のことです。
そんな子どもたちの学習環境とはなんなのでしょう? 与える大人からではなく、子どもの心の中に入り込んで感じてみてください。子どもは遊びと学習を区別しません。本当は区別できないのです。きっと誰でも遊びの中でより多くのことを、より深く学んだ経験がおありなのではないですか? それなのに、今の教育は、感性豊かな幼児期を長い間ほったらかしておいて、ある日突然、無理やり(心の成長とかけ離れた)勉強を強いることが多すぎます。
たとえば、算数は計算よりもまず、数の面白さを発見する学習のほうが先でなければなりません。計算はそれからでも遅くない。
小6で、中学3年生の計算問題まで練習しているという子が、小6の文章題が出来ないのはなぜでしょう? おかしいとは思いませんか?
あなたは、知らない間に、考える事が苦手な子どもを育ててはいませんか?
計算の仕方を覚えたり、早く計算が出来るように練習する前に、幼稚園や小学校低学年のうちに数の面白さに気付いたり、数とお友達になる方法はないのでしょうか? かきかたや図形も同じことです。文字のおもしろさ、図形のおもしろさを感じながら練習できないものでしょうか?
保護者向けチェックリスト
次のなかで、小学生の学習について「そう思う」ものに○をつけてください。
- あらゆる計算を早くできるように訓練する。
- どんどん先行学習させる。
- 「問題集をする → 答え合わせをする → 復習をする」そして次の単元へ、と進めていく。
- 1週間分を1日で終わらせたら、2・3日の休みの日を作ってもよい。
- 宿題は「教科書の音読・漢字の書き取り・計算ドリル」が中心でよい。
- テストで75点のとき、「何でこんなのができないの」または「この次がんばろうね」とはげます。
- 「詳しい解説書をみながら、自学自習ができる」ようになれれば安心だ。
- 親が教えられるところまでは、ていねいに教えてあげる。
- 右脳訓練をしているから安心だ。
※ チェックリストの判定:どの考えも×。選んだものが多いほど危険です。
9歳の壁
『小学校低学年のときに満点ばかり取っていた子が、小学校高学年や中1の3学期になると、特に原因があるとも思えないのに、急に「わからない」と言い出すという話をよく耳にします。あまりにもそういった例が多いので当たり前になっているようですが、…(途中、略)… この現象を「満点落ちこぼれ現象」と呼んでいて、低学年の時に深い学習を怠った結果、表面的な理解に止まってしまうことが原因だと考えられています。 小4の学習内容が急にむずかしくなっているためではなく、低学年ですべきこと、つまり考える力の養成をしないで暗記力と計算力で点数をとっていた未発達な子供たちが高学年で学業不振に陥っているのです。
この現象は、特に計算を早くする練習ばかりしている子供たちに数多く見られます。なぜなら計算を早くするように命令を受けている頭は考えることができない状態になるからです。高速計算の練習をしているつもりが、毎日考えない練習をしていることになってしまっているのです。…(途中、略)… 人は通常、9歳前後を境に思考形態が変わる(日常的で現実的なことだけ考える。→いろんな考えができる)ようになっています。この境を乗り越えることで成熟した考え方(抽象思考)ができるようになるのです。
教育界では、この境目を「9歳の壁」といっています。この壁を乗り越えていない子供たちは、一様に思考力が育っていません。これらの子供たちは「分かっていなくても、できるようにさせられてしまっている」のです。
「できれば分かる」という宣伝文句にのせられて、手順だけをおぼえて条件反射的に答を出し、「できたできた、ドンドンすすめ」とやっているうちに、わかっていないことが山積みになり、取り返しがつかないことになってしまっているのです。』
糸山泰三著「絶対学力」より
KISエジソンプログラム(算数・かきかた)とは
『KISエジソン』(算数・かきかた)は、幼稚園児と小学生のために、考える力や集中力を高めながら、図形や文章題の出来る子どもを育てる事を目的としたプログラムです。 実は、時代を超えて手作り教育を長年行なっていた「新村教育研究所」(本部:東京都板橋区 昭和42年開設)の実践教室との出会いがあったのです。その当時すでに全国1000教室の学習塾等で使用されていた教材が、同研究所の小学校低学年用に特化された「考える」、「分かる」トレーニングブックだったのです。小学校低学年の算数指導は、今でも権勢を誇っている計算速度を高めることを標榜した教室くらいしか一般に知られていませんでしたから、これは衝撃的でした。
それから1994年、KIS内に『KISエジソン』(算数・かきかた)を開設させていただいたのです。実際のところ、設立当初は新村先生の指導を受けながら教材をこなす毎日でした。しかし、生徒の成長を実感できるようになったのをきっかけに、私共自身もしだいに深く理解できるようになり、現在のKISスタイルが確立したのです。